JOURNAL

2025
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08
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「ねむりから聴こえる、いまの女性の課題」―世界最短レベルの睡眠、月経や更年期の影響を専門家が解説【ラキャルプフェス2025 レポート】

「昨夜、ぐっすり眠れましたか?」 2025年5月23日、サスティナブルな未来をつくる体験型イベント「第8回ラキャルプフェス2025」の壇上で、私たちは来場者の皆さんにこう問いかけました。 この日、私たちパラマウントベッドは、株式会社Chocolateの梅津和佳奈さんと共に「ねむりから聴こえる、いまの女性の課題〜睡眠の専門家が紐解く月経や更年期の睡眠〜」と題したセミナーに登壇。長年取り組んできた睡眠研究と、「ねむり共創リサーチ事業」を通じて見えてきた、現代女性が抱える睡眠課題についてお話ししました。 本記事では、その講演内容をダイジェストでお届けします。なぜ日本人女性の睡眠はこれほど短いのか。その背景にある課題と、私たちが「ねむり」を通して目指す未来についてお伝えします。

衝撃の事実。日本の女性は世界で一番、眠れていない

「今日すっきり朝起きられなかった人?」

「眠っている途中で目が覚めてしまった人?」

「昨日寝る時に、寝たいのに“なかなか眠れない”と思った人?」

セミナー会場で私たちが問いかけると、来場者のほぼ全員の手が上がりました。これは、多くの人が何かしらの睡眠に関する悩みを抱えている、日本の縮図とも言える光景でした。

講演でまずお見せしたのは、OECD諸国の睡眠時間データです。そこで明らかになったのは、日本人の睡眠時間が他国に比べ平均1時間も短く、さらに女性は男性より短いという衝撃の事実。多くの国では女性の方が長く眠る傾向にある中、日本では「逆転現象」が起きているのです。

「生物学的には女性の方が睡眠を必要とする」と指摘している専門家もいる中、なぜ、日本の女性だけがこれほど短いのでしょうか。

私たちは、この背景には身体的な変化だけでなく、文化や社会のあり方が深く関わっていると考えています。事実、50年前の日本人は今より約1時間も長く眠っていました。

さらに、私たちがプロジェクトで実際に計測した40代女性の平均睡眠時間は、なんと「4時間54分」。データを見ていても、こうしたケースは決して珍しいことではありません。

睡眠時間を奪う「無償労働」の正体

なぜ、これほどまでに睡眠時間が削られてしまうのでしょうか。その大きな要因の一つが、家事や育児といった「無償労働」です。

国際的に見ても、日本の男女間における家事・育児時間の格差は際立って大きく、女性に負担が偏っているのが現状です。

特に深刻なのが、育児による睡眠の中断です。あるデータでは、女性は男性の13倍も育児によって睡眠を中断されているという結果も示されています。

「夜泣きする子どもの隣で、パートナーはぐっすり…そんな経験はありませんか?」と会場に問いかけると、共感の苦笑いが漏れました。出産後の夫婦の睡眠データを比較しても、授乳などで細切れ睡眠になる女性と、朝まで眠り続ける男性の睡眠パターンは全く異なっていました。

産後から更年期へ。休む暇なく続く、女性の身体と睡眠の闘い

現代では第一子の出産年齢が上がり、育児が一段落する頃には「プレ更年期」「更年期」を迎える人も少なくありません。
「産後の不眠から、そのまま更年期の睡眠障害へ」。これは、多くの女性が直面する過酷な現実です。

私たちは、女性の睡眠を考える上で「女性ホルモン」との関係が不可欠だと考えています。体内にある約300もの生体リズムを整える「ペースメーカー」の役割を担うのが睡眠です。

しかし、女性は生涯を通じてホルモンバランスが大きく変動し、睡眠に影響を受けます。

女性ホルモンの分泌はコントロールできません。でも、睡眠は自分でコントロールできる数少ない生体リズムのひとつ。だからこそ、私たちは睡眠を整えることが非常に大切だと考えています。

私たちが挑む、「Sleep × FemTech」プロジェクトという希望

こうした深刻な課題に対し、私たちパラマウントベッドが70年以上の知見を活かして立ち上げたのが「Sleep × FemTech」プロジェクトです。

「Sleep × FemTech」は、3つの小プロジェクトに分かれています。

1つ目は、企業向けの更年期プログラム、働く更年期世代の方々をサポートするためのサービスで、すでに始動しています。

2つ目は、本講演のテーマ「女性のねむりから始める企業共創リサーチ」です。女性本人や企業など、色々な人たちと共創しながらより良い睡眠を考えていく、というプロジェクトです。

最後の3つ目は、「わたしとねむり研究所」です。女性と睡眠に特化し、気軽に関連情報に触れられる場として情報発信を行うとともに、世の中の女性たちが自分らしい生き方を見つけ、それを実践していくためのサポートを行うプロジェクトです。

終わりに〜「ねむり共創リサーチ」が目指すもの

このプロジェクトで私たちが目指すのは、個人の睡眠改善だけではありません。今は睡眠だけでなく、ジェンダーギャップなど、社会の価値観が大きく変わる過渡期です。もし10年後、みんなが今より1時間多く眠れたら、どんな世界になるでしょう。きっと女性がもっと健やかに、もっと楽に生きられる社会になるはずです。

私たちは、そんな未来を本気で目指しています。

実は、これまでの研究分野では、ホルモン変動がある女性よりも、身体の状態が安定している男性が対象となることが多く、女性特有の健康課題については、まだ十分に解明されていない領域が残されています。私たちは、この空白を埋めるように女性の身体に寄り添った研究を重ね、その知見を社会に還元していきたいと考えています。

「ねむり」というパーソナルな問題は、社会全体のあり方と密接に繋がっています。

「ねむりを聴く」というアプローチで、一人ひとりの生活の質を高め、社会の変革を目指す。私たちの挑戦はまだ始まったばかりです。この取り組みが、すべての女性が健やかに、自分らしく輝ける未来を創る大きな一歩となるよう、これからも活動を続けてまいります。

まずは今夜、ご自身の「ねむり」に少しだけ耳を傾けてみませんか。

<ねむり共創リサーチ>

--------------

※この記事は「第8回ラキャルプフェス2025」での登壇内容と投影資料を元に、私たちパラマウントベッドの視点で作成しました。

<登壇者>

(右)梅津和佳奈氏
株式会社Chocolate 取締役CCO

(左)大槻朋子氏
パラマウントベッド株式会社 経営企画本部事業戦略部 VCグループマネージャー

衝撃の事実。日本の女性は世界で一番、眠れていない

「今日すっきり朝起きられなかった人?」

「眠っている途中で目が覚めてしまった人?」

「昨日寝る時に、寝たいのに“なかなか眠れない”と思った人?」

セミナー会場で私たちが問いかけると、来場者のほぼ全員の手が上がりました。これは、多くの人が何かしらの睡眠に関する悩みを抱えている、日本の縮図とも言える光景でした。

講演でまずお見せしたのは、OECD諸国の睡眠時間データです。そこで明らかになったのは、日本人の睡眠時間が他国に比べ平均1時間も短く、さらに女性は男性より短いという衝撃の事実。多くの国では女性の方が長く眠る傾向にある中、日本では「逆転現象」が起きているのです。

「生物学的には女性の方が睡眠を必要とする」と指摘している専門家もいる中、なぜ、日本の女性だけがこれほど短いのでしょうか。

私たちは、この背景には身体的な変化だけでなく、文化や社会のあり方が深く関わっていると考えています。事実、50年前の日本人は今より約1時間も長く眠っていました。

さらに、私たちがプロジェクトで実際に計測した40代女性の平均睡眠時間は、なんと「4時間54分」。データを見ていても、こうしたケースは決して珍しいことではありません。

睡眠時間を奪う「無償労働」の正体

なぜ、これほどまでに睡眠時間が削られてしまうのでしょうか。その大きな要因の一つが、家事や育児といった「無償労働」です。

国際的に見ても、日本の男女間における家事・育児時間の格差は際立って大きく、女性に負担が偏っているのが現状です。

特に深刻なのが、育児による睡眠の中断です。あるデータでは、女性は男性の13倍も育児によって睡眠を中断されているという結果も示されています。

「夜泣きする子どもの隣で、パートナーはぐっすり…そんな経験はありませんか?」と会場に問いかけると、共感の苦笑いが漏れました。出産後の夫婦の睡眠データを比較しても、授乳などで細切れ睡眠になる女性と、朝まで眠り続ける男性の睡眠パターンは全く異なっていました。

産後から更年期へ。休む暇なく続く、女性の身体と睡眠の闘い

現代では第一子の出産年齢が上がり、育児が一段落する頃には「プレ更年期」「更年期」を迎える人も少なくありません。
「産後の不眠から、そのまま更年期の睡眠障害へ」。これは、多くの女性が直面する過酷な現実です。

私たちは、女性の睡眠を考える上で「女性ホルモン」との関係が不可欠だと考えています。体内にある約300もの生体リズムを整える「ペースメーカー」の役割を担うのが睡眠です。

しかし、女性は生涯を通じてホルモンバランスが大きく変動し、睡眠に影響を受けます。

女性ホルモンの分泌はコントロールできません。でも、睡眠は自分でコントロールできる数少ない生体リズムのひとつ。だからこそ、私たちは睡眠を整えることが非常に大切だと考えています。

私たちが挑む、「Sleep × FemTech」プロジェクトという希望

こうした深刻な課題に対し、私たちパラマウントベッドが70年以上の知見を活かして立ち上げたのが「Sleep × FemTech」プロジェクトです。

「Sleep × FemTech」は、3つの小プロジェクトに分かれています。

1つ目は、企業向けの更年期プログラム、働く更年期世代の方々をサポートするためのサービスで、すでに始動しています。

2つ目は、本講演のテーマ「女性のねむりから始める企業共創リサーチ」です。女性本人や企業など、色々な人たちと共創しながらより良い睡眠を考えていく、というプロジェクトです。

最後の3つ目は、「わたしとねむり研究所」です。女性と睡眠に特化し、気軽に関連情報に触れられる場として情報発信を行うとともに、世の中の女性たちが自分らしい生き方を見つけ、それを実践していくためのサポートを行うプロジェクトです。

終わりに〜「ねむり共創リサーチ」が目指すもの

このプロジェクトで私たちが目指すのは、個人の睡眠改善だけではありません。今は睡眠だけでなく、ジェンダーギャップなど、社会の価値観が大きく変わる過渡期です。もし10年後、みんなが今より1時間多く眠れたら、どんな世界になるでしょう。きっと女性がもっと健やかに、もっと楽に生きられる社会になるはずです。

私たちは、そんな未来を本気で目指しています。

実は、これまでの研究分野では、ホルモン変動がある女性よりも、身体の状態が安定している男性が対象となることが多く、女性特有の健康課題については、まだ十分に解明されていない領域が残されています。私たちは、この空白を埋めるように女性の身体に寄り添った研究を重ね、その知見を社会に還元していきたいと考えています。

「ねむり」というパーソナルな問題は、社会全体のあり方と密接に繋がっています。

「ねむりを聴く」というアプローチで、一人ひとりの生活の質を高め、社会の変革を目指す。私たちの挑戦はまだ始まったばかりです。この取り組みが、すべての女性が健やかに、自分らしく輝ける未来を創る大きな一歩となるよう、これからも活動を続けてまいります。

まずは今夜、ご自身の「ねむり」に少しだけ耳を傾けてみませんか。

<ねむり共創リサーチ>

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※この記事は「第8回ラキャルプフェス2025」での登壇内容と投影資料を元に、私たちパラマウントベッドの視点で作成しました。

<登壇者>

(右)梅津和佳奈氏
株式会社Chocolate 取締役CCO

(左)大槻朋子氏
パラマウントベッド株式会社 経営企画本部事業戦略部 VCグループマネージャー

この記事は
わたしとねむり研究所会員限定記事です。

※会員登録は無料です

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