
JOURNAL


「女性の職員比率は約70%」と多くの女性が第一線で活躍する介護業界。だからこそ、ケアを担う女性たちの健康に、目を向けることは欠かせません。パラマウントベッドは、2025年10月8日から開催された「第52回国際福祉機器展&フォーラム」に出展。 期間中には、女性の健康・フェムテック分野における事業開発や情報発信に取り組む株式会社Chocolateの村上茉莉さん、日本ホームヘルパー協会東京都支部会長の黒澤加代子さんを迎え「フェムテックが変える介護福祉の未来 ― 働きやすい職場環境とは」をテーマにセミナーを開催しました。 なぜ今、企業が女性の健康課題に向き合う必要があるのか。そして、どのように取り組みを始めていけばよいのか。女性が多く働く介護現場ならではの課題を踏まえながら、フェムテック事業を通じて私たちができることを考えました。 本記事では、その講演内容をダイジェストでお届けします。
セミナー冒頭では、モデレーターを務める株式会社Chocolate代表の村上さんが、フェムテック市場の最新動向や広がりの背景、企業による具体的な取り組み事例を紹介しました。

そもそも「フェムテック(Femtech)」とは、“Female(女性)”と“Technology(テクノロジー)”を組み合わせた言葉で、女性の健康課題をテクノロジーの力で解決しようとする取り組みを指します。
この言葉が日本で広く知られるようになったのは2020年頃。翌2021年には経済産業省が関連事業への補助金制度を設けるなど国の後押しも進み、大手アパレル企業による「吸水ショーツ」の発売をきっかけに、民間企業の参入も一気に広がりはじめています。
経済産業省の報告によると、女性の健康課題に取り組むことで約3.4兆円の経済効果が期待できるとされ、社会的・経済的にも注目が高まっている領域なのです。
フェムテックという言葉の浸透とともに、月経・妊活・更年期といった女性特有の健康課題を、事業や福利厚生として扱う企業が増えてきました。一方で、「なぜ女性だけを対象にするのか」という声が聞かれるのも事実です。
これに対し、村上さんは「女性の健康課題と向き合うことは、長期的にみると企業の“健康経営”にもつながる。まずは、女性の生物的な特性や不調の実態を知ることから始めてほしい」と話します。
そもそも女性は、男性に比べてホルモンの変動が大きく、ライフステージの変化によって心身の不調が起こりやすいという特性があります。さらに、月経痛やPMS、子宮系疾患などの健康課題は、女性の社会進出やキャリアアップを妨げる要因にもなりうるのです。
村上さんは、「国が掲げる女性活躍推進を進めるためにも、社会全体で女性の健康課題に向き合う必要がある。まずは、個人が抱える不調を理解し、安心して相談できる環境を整えること。課題をオープンにできる場づくりは、女性だけでなくすべての人が働きやすい職場づくりにつながるはずです」と呼びかけました。
次に、企業が女性の健康課題の解決に取り組むうえで、具体的にどのようなアクションをしたら良いのかを村上さんに説明いただきました。
1つ目に挙げられたのは、社内の福利厚生制度を学び、正しく共有することです。たとえば「生理休暇の存在を知らなかった」という社員に対する働きかけも、その一例。まずは身近な制度を知り、必要な人に届けることが、支援の第一歩になります。
2つ目は、啓発イベントの実施です。ある企業では、視覚障がいのある方が生理時の不便を解消するプロダクトを展示したところ、「同じ女性でも、生理の際にこのような課題を抱える人がいることに、これまで気づかなかった」という声が上がりました。
また、骨盤底筋に関するプロダクトをきっかけに、自身の尿漏れについて話す男性社員もいました。普段は話しづらく、「我慢すればいい」と捉えられがちな心身の不調も、“場”があることで、互いに理解し合うきっかけが生まれるかもしれません。

3つ目は、すでに取り組みを進めている企業から学ぶことです。国内でも、女性の健康課題への取り組みを“自分ごと化”する仕組みが生まれ始めており、プロダクト開発やサービス提供、福利厚生の充実などに着手している企業もあります。
女性の健康課題に向き合うことは、従業員全体のウェルビーイング向上につながるだけでなく、企業が社会にインパクトを与え、変革のスピードを加速させるためにも欠かせない取り組みなのです。
次に登壇したのは、パラマウントベッドでフェムテック事業を担当する大槻です。医療・介護用ベッドの老舗メーカーがなぜフェムテック領域に取り組むのか。その背景について語りました。

「体内リズムの乱れは、さまざまな心身の不調を引き起こすと言われています。体内に複数あるリズムのうち、“睡眠”は自ら整えることができる。だからこそ、睡眠から女性の心身のバランスを支えるアプローチを進めています」と大槻はいいます。
「長年の睡眠研究の知見を、女性の不調改善に役立てたい」。そんな想いから2022年に立ち上がった「Sleep×FemTechプロジェクト」は、経済産業省や専門家との連携を重ね、いまではパラマウントベッドの公式な取り組みとして発展しています。
取り組みの柱は、一般ユーザー向けの「わたしとねむり研究所」、多様な企業と協働する「ねむり共創リサーチ」、企業向けプログラム「Menorista.」の3つ。なかでも、働く更年期世代の女性を対象にした「不調サポートプログラム」では、睡眠データの可視化とカウンセリングにより、参加者の多くが変化を実感したと答えています。

2025年10月からは介護施設での研修・サポートプログラムも開始。このプログラムでは、介護現場で働く女性の心身の負担を軽減し、より良い働き方の実現を目指していきます。事業担当者の大槻は「今後も、女性のライフステージに寄り添い、“自分に合った眠り”を体験できる社会をつくるため、研究と実践の両面で挑戦を続けていきたい」と語りました。

セミナー後半では、訪問介護の現場に20年携わり、現在は日本ホームヘルパー協会東京都支部会長も務める黒澤さんが登壇。「介護職における女性の健康課題」と「マネジメント層としての向き合い方」をテーマに、パラマウントベッドの新規事業統括責任者である古賀とクロストークを行いました。
黒澤さんがまず語ったのは、“ケアする側”が自分のケアを後回しにせざるを得ないという現実です。「私自身、20代で夜勤を続けていた頃、半年間生理が止まった経験があります。医師からはホルモンバランスの乱れを指摘されました」と振り返ります。
また、長時間現場にかかりきりとなる訪問介護や水着の着用を伴う入浴介護では、生理中の不便さを感じる場面が少なくないそう。黒澤さんは、同僚との会話を通じて初めて、それが自分だけの悩みではないと気づいたといいます。

現在は管理者として、妊活や更年期など、女性特有の健康課題に悩む職員の声を聞く機会も増えたという黒澤さん。
「妊活中や更年期による体調不良が原因で、現場勤務が難しくなり、やむを得ず離職する女性が多いのも介護現場の現状。すぐに配置転換ができない場合もありますが、管理者としては日頃から一人ひとりの健康課題を理解し、可能な限り柔軟に対応できるようにしていけたら」と話しました。
介護の現場では女性が多い一方で、マネジメント層を男性が担うケースも少なくありません。そんな“男性管理職の視点”から、組織として女性の健康課題に向き合う意義を語ったのは、パラマウントベッドで「Sleep×Wellness」をテーマに部門横断の新規事業を推進する古賀です。
「以前は、女性の体調やコンディションを話題にすること自体が、タブーのように感じられていました。けれど最近は、健康課題への取り組みを“健康経営の入り口”と捉える企業も増えてきています」。
たとえば、体調が優れない日は無理をせず時短勤務を促したり、在宅勤務を活用してもらったり。「“成果主義一辺倒”ではなく、社員が最大限のパフォーマンスを発揮できる環境を整えることが、これからのマネジメント層には求められる」と古賀は語ります。

一方で、組織として「女性の健康課題」に取り組む際には、難しさもあるといいます。
「『なぜ女性だけなのか』という声は少なからずあります。そんなときこそ、社員同士が歩み寄れるよう“潤滑油”のような役割を自ら担うこと。そして、社会全体の動きや他社の事例を共有しながら、少しずつ理解を広げていくことが大切です」と、企業で新しい取り組みを進めるうえでの心持ちを語りました。
対談の締めくくりでは、セミナー参加者たちが企業の管理層そして、介護現場で働く女性たちに向けてメッセージを送りました。
古賀は「健康について気軽に話せる関係性があってこそ、制度や仕組みは本当の意味で活きてきます。制度の整備も大切ですが、まずは社員が安心して話せる“関係づくり”に取り組んでいただきたいです」と呼びかけます。
一方、「介護職は利用者の心と体をケアする仕事ですが、自分自身のケアも同じくらい大切です。同じ悩みを抱える人がいることを知り、勇気を持って相談してほしい」と現場で働く仲間へメッセージを送った日本ホームヘルパー協会の黒澤さん。
最後に「男性女性関係なく、体や健康課題について学ぶ機会を持つことで、お互いの理解が深まり、より良いチームづくりにつながると思います」という黒澤さんの言葉で、セミナーは締めくくられました。
企業の取り組みと介護の現場との両面から「女性の健康課題」を見つめ直す時間となった今回のセミナー。パラマウントベッドは、これからも「Sleep×FemTechプロジェクト」を通して、働く女性をサポートしていきます。
<登壇者>
・村上茉莉氏
株式会社Chocolate代表取締役
・黒澤加代子氏
日本ホームヘルパー協会東京都支部会長
・古賀成憲
パラマウントベッド株式会社 経営企画本部事業戦略部 VCグループ統括責任者
・大槻朋子
パラマウントベッド株式会社 経営企画本部事業戦略部 VCグループマネージャー
セミナー冒頭では、モデレーターを務める株式会社Chocolate代表の村上さんが、フェムテック市場の最新動向や広がりの背景、企業による具体的な取り組み事例を紹介しました。

そもそも「フェムテック(Femtech)」とは、“Female(女性)”と“Technology(テクノロジー)”を組み合わせた言葉で、女性の健康課題をテクノロジーの力で解決しようとする取り組みを指します。
この言葉が日本で広く知られるようになったのは2020年頃。翌2021年には経済産業省が関連事業への補助金制度を設けるなど国の後押しも進み、大手アパレル企業による「吸水ショーツ」の発売をきっかけに、民間企業の参入も一気に広がりはじめています。
経済産業省の報告によると、女性の健康課題に取り組むことで約3.4兆円の経済効果が期待できるとされ、社会的・経済的にも注目が高まっている領域なのです。
フェムテックという言葉の浸透とともに、月経・妊活・更年期といった女性特有の健康課題を、事業や福利厚生として扱う企業が増えてきました。一方で、「なぜ女性だけを対象にするのか」という声が聞かれるのも事実です。
これに対し、村上さんは「女性の健康課題と向き合うことは、長期的にみると企業の“健康経営”にもつながる。まずは、女性の生物的な特性や不調の実態を知ることから始めてほしい」と話します。
そもそも女性は、男性に比べてホルモンの変動が大きく、ライフステージの変化によって心身の不調が起こりやすいという特性があります。さらに、月経痛やPMS、子宮系疾患などの健康課題は、女性の社会進出やキャリアアップを妨げる要因にもなりうるのです。
村上さんは、「国が掲げる女性活躍推進を進めるためにも、社会全体で女性の健康課題に向き合う必要がある。まずは、個人が抱える不調を理解し、安心して相談できる環境を整えること。課題をオープンにできる場づくりは、女性だけでなくすべての人が働きやすい職場づくりにつながるはずです」と呼びかけました。
次に、企業が女性の健康課題の解決に取り組むうえで、具体的にどのようなアクションをしたら良いのかを村上さんに説明いただきました。
1つ目に挙げられたのは、社内の福利厚生制度を学び、正しく共有することです。たとえば「生理休暇の存在を知らなかった」という社員に対する働きかけも、その一例。まずは身近な制度を知り、必要な人に届けることが、支援の第一歩になります。
2つ目は、啓発イベントの実施です。ある企業では、視覚障がいのある方が生理時の不便を解消するプロダクトを展示したところ、「同じ女性でも、生理の際にこのような課題を抱える人がいることに、これまで気づかなかった」という声が上がりました。
また、骨盤底筋に関するプロダクトをきっかけに、自身の尿漏れについて話す男性社員もいました。普段は話しづらく、「我慢すればいい」と捉えられがちな心身の不調も、“場”があることで、互いに理解し合うきっかけが生まれるかもしれません。

3つ目は、すでに取り組みを進めている企業から学ぶことです。国内でも、女性の健康課題への取り組みを“自分ごと化”する仕組みが生まれ始めており、プロダクト開発やサービス提供、福利厚生の充実などに着手している企業もあります。
女性の健康課題に向き合うことは、従業員全体のウェルビーイング向上につながるだけでなく、企業が社会にインパクトを与え、変革のスピードを加速させるためにも欠かせない取り組みなのです。
次に登壇したのは、パラマウントベッドでフェムテック事業を担当する大槻です。医療・介護用ベッドの老舗メーカーがなぜフェムテック領域に取り組むのか。その背景について語りました。

「体内リズムの乱れは、さまざまな心身の不調を引き起こすと言われています。体内に複数あるリズムのうち、“睡眠”は自ら整えることができる。だからこそ、睡眠から女性の心身のバランスを支えるアプローチを進めています」と大槻はいいます。
「長年の睡眠研究の知見を、女性の不調改善に役立てたい」。そんな想いから2022年に立ち上がった「Sleep×FemTechプロジェクト」は、経済産業省や専門家との連携を重ね、いまではパラマウントベッドの公式な取り組みとして発展しています。
取り組みの柱は、一般ユーザー向けの「わたしとねむり研究所」、多様な企業と協働する「ねむり共創リサーチ」、企業向けプログラム「Menorista.」の3つ。なかでも、働く更年期世代の女性を対象にした「不調サポートプログラム」では、睡眠データの可視化とカウンセリングにより、参加者の多くが変化を実感したと答えています。

2025年10月からは介護施設での研修・サポートプログラムも開始。このプログラムでは、介護現場で働く女性の心身の負担を軽減し、より良い働き方の実現を目指していきます。事業担当者の大槻は「今後も、女性のライフステージに寄り添い、“自分に合った眠り”を体験できる社会をつくるため、研究と実践の両面で挑戦を続けていきたい」と語りました。

セミナー後半では、訪問介護の現場に20年携わり、現在は日本ホームヘルパー協会東京都支部会長も務める黒澤さんが登壇。「介護職における女性の健康課題」と「マネジメント層としての向き合い方」をテーマに、パラマウントベッドの新規事業統括責任者である古賀とクロストークを行いました。
黒澤さんがまず語ったのは、“ケアする側”が自分のケアを後回しにせざるを得ないという現実です。「私自身、20代で夜勤を続けていた頃、半年間生理が止まった経験があります。医師からはホルモンバランスの乱れを指摘されました」と振り返ります。
また、長時間現場にかかりきりとなる訪問介護や水着の着用を伴う入浴介護では、生理中の不便さを感じる場面が少なくないそう。黒澤さんは、同僚との会話を通じて初めて、それが自分だけの悩みではないと気づいたといいます。

現在は管理者として、妊活や更年期など、女性特有の健康課題に悩む職員の声を聞く機会も増えたという黒澤さん。
「妊活中や更年期による体調不良が原因で、現場勤務が難しくなり、やむを得ず離職する女性が多いのも介護現場の現状。すぐに配置転換ができない場合もありますが、管理者としては日頃から一人ひとりの健康課題を理解し、可能な限り柔軟に対応できるようにしていけたら」と話しました。
介護の現場では女性が多い一方で、マネジメント層を男性が担うケースも少なくありません。そんな“男性管理職の視点”から、組織として女性の健康課題に向き合う意義を語ったのは、パラマウントベッドで「Sleep×Wellness」をテーマに部門横断の新規事業を推進する古賀です。
「以前は、女性の体調やコンディションを話題にすること自体が、タブーのように感じられていました。けれど最近は、健康課題への取り組みを“健康経営の入り口”と捉える企業も増えてきています」。
たとえば、体調が優れない日は無理をせず時短勤務を促したり、在宅勤務を活用してもらったり。「“成果主義一辺倒”ではなく、社員が最大限のパフォーマンスを発揮できる環境を整えることが、これからのマネジメント層には求められる」と古賀は語ります。

一方で、組織として「女性の健康課題」に取り組む際には、難しさもあるといいます。
「『なぜ女性だけなのか』という声は少なからずあります。そんなときこそ、社員同士が歩み寄れるよう“潤滑油”のような役割を自ら担うこと。そして、社会全体の動きや他社の事例を共有しながら、少しずつ理解を広げていくことが大切です」と、企業で新しい取り組みを進めるうえでの心持ちを語りました。
対談の締めくくりでは、セミナー参加者たちが企業の管理層そして、介護現場で働く女性たちに向けてメッセージを送りました。
古賀は「健康について気軽に話せる関係性があってこそ、制度や仕組みは本当の意味で活きてきます。制度の整備も大切ですが、まずは社員が安心して話せる“関係づくり”に取り組んでいただきたいです」と呼びかけます。
一方、「介護職は利用者の心と体をケアする仕事ですが、自分自身のケアも同じくらい大切です。同じ悩みを抱える人がいることを知り、勇気を持って相談してほしい」と現場で働く仲間へメッセージを送った日本ホームヘルパー協会の黒澤さん。
最後に「男性女性関係なく、体や健康課題について学ぶ機会を持つことで、お互いの理解が深まり、より良いチームづくりにつながると思います」という黒澤さんの言葉で、セミナーは締めくくられました。
企業の取り組みと介護の現場との両面から「女性の健康課題」を見つめ直す時間となった今回のセミナー。パラマウントベッドは、これからも「Sleep×FemTechプロジェクト」を通して、働く女性をサポートしていきます。
<登壇者>
・村上茉莉氏
株式会社Chocolate代表取締役
・黒澤加代子氏
日本ホームヘルパー協会東京都支部会長
・古賀成憲
パラマウントベッド株式会社 経営企画本部事業戦略部 VCグループ統括責任者
・大槻朋子
パラマウントベッド株式会社 経営企画本部事業戦略部 VCグループマネージャー
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